概要

研究代表者　　小川　彰　（脳神経外科学・医学部長）
ハイテクリサーチセンター長　　 佐々木　和彦　（生理学）

脳血管障害とその修復に関する研究プロジェクト
1. 脳循環制御機構の解明と臓器・器官特異的な血管発生機構の解明　　　　
2. 超高磁場MRIとPETによる生体組織イメージングとその臨床応用　　　　　　
3. 神経組織損傷時の生体反応の分子形態学的および機能的研究　　　　　　　

• 我々は，平成11年度から文部科学省のハイテクリサーチセンターに選定された施設で，「加齢に伴う神経損傷とその修復に関するプロジェクト」を研究してきた(報告書　PDFファイル）。本センターは，病態解明部門，治療法検討部門，神経再生・変性研究部門の３部門から構成され，各領域で着実な成果をあげてきた。とりわけ，国内に数台しか導入されていない超高磁場MRI装置により，脳の構造と機能を高解像度で描出できるようになった。
• 脳血管障害は東北地方に多い疾患で，岩手医科大学においてもこの障害の早期発見と予防ならびに治療方法の改善は重要な案件となっている。併設したPETとあわせて，非侵襲的な脳機能の画像解析の研究を更に押しすすめることにより，脳血管障害の発症前診断や，障害された脳機能の修復予測が確実になされると期待される。更に，このような臨床研究に加え，脳循環を特徴づける血流制御機構や，脳血管障害後の神経組織の修復まで視野に入れた分子生物学的な研究が強く望まれる。
• これまでの研究成果を踏まえて，脳血管障害と神経組織修復に関する研究プロジェクトを構想するに至った。上記３部門が寄り集まった従来の先端医療研究センターを，画像解析部門を中心に据えてその前後に病態解析部門と治療法検討部門を配したものに組織改変し，≪生理機能解析→臨床画像データ取得→病態生理の解明≫という流れで本センターを運営することにした。また，脳循環の特異性を明らかにするため，他の組織や腫瘍組織の微小循環の研究者の参画を促進する。研究メンバーは，毎月定例のプロジェクト推進委員会で成果を発表し,研究内容の相互評価をする。また，プロジェクトの内容に応じて講座・部門横断的に組織を再編し，成果に応じて次年度の予算配分をおこなうこととする。
• 本構想の中核をなす超高磁場MRI研究施設は，学内のみならず学外研究者も利用可能な共同利用研究施設として運営されている。この超高磁場MRI施設を維持・発展させることは，高額な研究資産の有効利用という点で有意義であろう。そこで，本構想では消耗品とMRI装置の維持費を計上し，更に，1)超高磁場装置の改良と，2) MRIの性能向上あるいは分子生物学の研究に従事するPD(ポスドク)採用を企図する。